るるぶ系ハイカー爆誕 笈川流、京都の歩き方

LOGメンバーの笈川は数年前から登山にドハマリして、週末ともなれば足繁く山に通っている山好きです。北アルプス縦走など割とハードめの登山などもしていたはずなんですが、最近では山手線一周ハイキングとか、ほとんど飲んで風呂行って観光名所まわってまた飲んで的な快楽的ハイキング(もはやただの散歩?)に終始しています。
そんな最近の笈川のスタイルに付いた名前が「るるぶ系ハイカー」。
なぜ笈川がそんなことになっているのか?
それを探るべく、ライターサクライが京都行きの新幹線へと乗り込むと…。

はい、朝から笈川やってます。テーブルの上には崎陽軒のシウマイ弁当&ビール。
「朝イチききますねえ。ひと眠りしときましょ。一応歩くんで」
一応、だと!?
ワタシの怒りに近い驚きを無視して、笈川が続けます。
「京都に天下一品の本店があるんすよ。とうぜん行くじゃないですか? 味が関東で食べるのとびっくりするくらい一緒なんです! 本店ならではのスペシャル感をちょっと期待してたんですけど」
しょうもな! でも旅はこうしたネタの宝庫であることはたしか。山だけではなかなかこういうネタは生まれません。

笈川は何度も京都を訪れているらしく、Googleマップは印だらけ。隠れ家的な名所も網羅しているらしく、これは期待ができます。でも、指の形どうした?
今回の旅のルールとしては、できるだけ公共交通機関はつかわない歩き旅スタイル。歩くルートだけなんとなく決めておいてあとはフリースタイルでその場の気分で変えていくというもの。
「本当に大丈夫なのか……」というワタシの不安をよそに、シウマイ弁当を頬張る笈川を乗せて、新幹線は京都駅へと突き進みます。


2人とも眠りこけていたら、あっという間に京都駅へ到着。新幹線で爆睡したからコーヒーが欲しいということで、いきなり京都タワー下のスタバにピットインです。
コーヒー片手にすこし歩くと東本願寺が見えてきます。ウエルカム重要文化財。ちょっとぶらぶらするだけで、京都には国宝級がゴロゴロしています。そのポテンシャルにあらためて驚きつつ、鴨川の畔をゆるゆると歩いて山のほうへと向かいます。



初日の目的地は大文字山。8月16日の五山送り火で「大」の字が灯る超メジャーな山ですが「どうやって大の字を灯しているのか?」という疑問を解決すべく、その頂を目指すのです。
観光客で賑わう祇園を抜けて、八坂神社から山の方へと向かいますが、その道中で現れたのが「京都一周トレイル」の道標。その名のとおり京都を囲む山々を1週できるトレイルで、総延長は130kmを超えるロングトレイルなのです。
笈川は以前もこの京都一周トレイルを訪れたことがあって、その時に歩いていないセクションを今回は歩いていくことになります。
いまのところ山にも行かず、るるぶ感しかありませんが、京都の歩き旅ポテンシャルには驚かされます。ルート次第では、10分おきくらいに名所が現れるので、まったく飽きがきません。


さっきから笈川がなにやらぶつぶつ言ってます。
「ねじりまんぽがそろそろ、ねじりまんぽが……」
日頃のアルコール摂取によって、ついに頭のネジが外れてしまったのかと、残念に思いながら進んで行くと、おもむろに「ねじりまんぽ」という看板が出現したではありませんか。
らせん状にレンガが積まれた独特の形状をしたトンネルで、国宝の一部でもあるんです。


さて、いよいよ登山口から山道に入っていきますが、いきなりの急登です。ここからは脱るるぶでしっかりと山歩きを楽しめるんですが、急登なのは最初だけで、あとは小さなアップダウンを繰り返しながらじょじょに標高を上げていきます。ときおり木々の向こうに京都の街並みがチラリと覗きます。山頂からの眺望には期待感しかありません。

登山口から1時間半。大文字山山頂に到着です。平日だというのに登山客で賑わっていて、地元愛され山なのが伺えます。そして眺望も予想通り素晴らしい。遠くには京都タワーも見えるし、自分たちが歩いてきた道のりを眺めることができます。

ところがどっこい。そこからちょっと下った所にある大文字焼きの現場が本番でした。火床と呼ばれる釜が75箇所設置されていて、ここで薪を燃やすことであの「大」の字を生み出しているんです。それにしても当然ドローンなんて存在しない時代に、よくこんなに上手く配置できたなと感心しきり。
こうやって上から眺めると、大都会と山が本当に近い。こんな場所、日本広しと言えどもここ、京都くらいではないでしょうか。
さて、山と街が近いってことは、ご褒美も近い。登りでけっこう汗もかいたし、そろそろお腹も減ってきました。
「大変です! 日々の麺活で溜め込んだ背脂がなくなっちゃいそうです」
笈川が謎の嘆きを発しています。というわけで下山飯は背脂たっぷりのラーメンに決定。いそいそと下山を開始します。


法然寺へと下山して哲学の道を目当てのラーメン屋へと向かいます。先ほどから笈川が妙に静かです。もしや哲学中?
「ラーメンを並みにするか大盛りにするか迷ってます」
途中、笈川が大好きだという生八ツ橋のお店「やつはし屋 にしお」に立ち寄ります。これが想像以上のもっちもち。普段あまり甘い物を食べない僕からしても、大満足。こちらでお土産を購入してから、向かったのが「中華そば ますたに北白川本店」。すでにけっこうな行列ができていましたが、20分ほどで店内へ。

このラーメンがまた染みる!
背脂たっぷり、ネギてんこ盛り。しっかり炊き込まれたスープには、鶏ガラの旨味がギュッと濃縮されています。少し塩分多めですが山歩きで汗をかいた後にもピッタリ。完璧な下山飯でした。

飯の後は風呂ということで、笈川が前々から行ってみたかったという「玉の湯」へ。実は京都は銭湯の聖地としても知られていて、京都市内にはなんと200軒ほどの銭湯があるんです。その8割以上が水質の良さで知られる京都の地下水を使用していて、レトロ系から趣向をこらしたサウナ付きまで、さまざまな銭湯が存在するんです。今回行った「玉の湯」はいわゆるレトロ系。じっくりと歩き旅の疲れを癒すことができました。
ここまでオール徒歩。歩いた距離としては20kmオーバーです。体の疲れ的にも単純に山登りをするよりもハードな気がします。



さて、普通だったらここで終わるところかもしれませんが、我々の旅はある意味ここからが本番です。夕闇が迫るなか、街へと繰り出していきます。
手始めに観光客で賑わう京極に繰り出して「京極スタンド」で手始めのビール。「京極スタンド」の創業は1927年。大正時代の建物を利用した大衆食堂兼飲み屋で、昼のみスポットとしても有名です。料理もハムカツやポテサラなど、“間違いないでしょ!”的なものが多くて、地元の人と観光客が入り乱れている雰囲気もとても楽しい。


お次は、笈川が前々から気になっていたという「小林酒店」。お酒が買えてその場でも飲めるといういわゆる角打ちスタイルですが、店内は落ち着いた内装で洒落たバーの雰囲気。ここでいただいた「ヤマレスト」というクラフトジンがストライク! 宇治玉露やコーヒー、ラムネなど、他ではなかなかお目にかかれないフレーバーを楽しめます。京都に蒸留所もあるというので、帰りに立ち寄ってお土産購入を固く決意します。



そして最後に着陸したのが「酒場 井倉木材」。昼は材木屋、夜は立ち飲み屋というかなり異色なお店です。店内はカウンターのみ。すでに常連さんたちが楽しげに酔っておられます。そして料理が抜群に美味い! カニ味噌のルイベ、ブリのタタキを手始めに、手羽餃子も絶品。佇まいからは想像できない本格派のグルメを堪能することができます。そして締めの焼き飯が最高! もちろんお酒が進まないわけはなく、このあたりから記憶が混濁しつつ、夜は更けていくのでした。

翌朝。記憶がありません……。
最後の飲み屋で常連さんに「おいくぁわ〜」とか呼ばれるくらい馴染んだところまでは覚えてたんですが、どうやって宿まで帰って来たのか2人とも不明です。
「なんか僕、水の写真撮ってるんですよ……」
そうやって差し出された笈川のスマホを見ると、手に持ったミネラルウォーターの写真。
こっわ!
本当はこの日も京都一周トレイルの一部を歩く予定だったんですが、前日のダメージが予想以上だったため、急きょ目的地変更。
るるぶ的にはパワースポット巡りは外せない、ということで叡山鉄道に乗り込み、貴船神社を目指します。市内から電車で1時間も行かないのに一気に景色は山深くなります。



この貴船神社は677年にはすでに社殿が存在した記録が残っているという歴史ある神社です。参道の雰囲気がまた良いんです。茶屋が点在していて、ぼたん鍋やウナギ料理、川魚料理など、食事のバリエーションも豊富です。奥宮までしっかりお参りしてから「川床 ひろ文」で大虹鱒お造り御膳に舌鼓。このエリアは川床でも有名。川床とは川沿いや川の上に設けられる屋外座敷席で、古くから暑い京都から脱出して涼をとる場所としても愛されてきた歴史があります。



この貴船神社からは山道を抜けていけば鞍馬寺へと行くことができるので、腹ごなしもかねて鞍馬寺に向かいます。この鞍馬寺は源義経が幼少期を過ごした場所で、山歩きとお堂巡りを同時に楽しむことができます。植生を見るに、おそらく紅葉の時期も素晴らしいはず。鞍馬駅近辺にはお土産屋さんもあって、笈川は「くらま辻井」で名物である木の芽煮を購入。


と、2日目はハイク少なめ、るるぶ多めでお送りしてきたわけですが、最後はやはり温泉でしょう。というわけで、ゴールは「鞍馬温泉」。鉄分・硫黄を多く含んでいて、筋肉痛などへの効能もあるとされているので、これ以上ない締めくくりと言えます。
そして温泉後は当然ビール。
ビールにはじまり、ビールに終わる今回の京都旅。予想をはるかに超えた濃さでした。今回は残念なことにオッサン2人旅でしたが、デートコースとしても相当に優秀だと思います。
ぶっちゃけ最初は「ゆるゆるハイキングなんて楽しいの?」とか半信半疑だったんですが、ワタシもすっかり“るるぶ系ハイキング”の虜に。
さて、次はどこでるるぶする?
るるぶ系ハイキング企画は、今後も積極的におこなっていきたい所存です!
Text: 櫻井 卓