neru design works interview 1
LOGの代表でもあるneruが手掛ける自身のブランド「neru design works」。
アウトドアカルチャーの盛り上がりとともに、今でこそ多くのギアショップやガレージブランドが存在していますが、その中でも「neru design works」の始まりは2014年と古く、言わばアウトドアガレージブランドの先駆け的存在。
幸いなことに、「neru design works」はプロダクトを通して既に多くの方に支持していただいてますが、ブランドのことやプロダクトの生みの親であるneruのことを、あまりご存じでない方もまだまだいらっしゃるんじゃないかと思います。
今回は、「neru design works」をより深く知っていただくために、neru本人に直接インタビューをおこない、モノ作りをする上での価値観などについて、語ってもらいました。
自らキャンプギアを作り始めることになったきっかけはなんですか?
neru
「単純に、欲しいと思うものが無かった、というのが一番の理由ですね。作っているのは全て、自分が欲しいモノ、あったら良いなと思うモノが基本。
斧や鉈、ハンマーなどは既存のプロダクトもたくさんありますが、デザイン的に自分が使いたいと思うものが無かったから作ることにしました。」
「neru design works」のプロダクトの中には、他のメーカーやガレージブランドが作らないようなニッチなものもあるのは、そういった理由からなんですね。
neru
「特にハンガーや小皿、蜜蝋のような脇役と言われるような道具は、メーカーとしても力を入れにくいマーケットなので、使いたいと思わせてくれるモノになかなか出会えません。そういう意味で、自分で作るものは結果的に王道系ではない道具が多くなっているかもしれません。
また、キャンプに限らず、色んなことにこだわっていくと、結局最後は細部が気になってしまうんですが、そこはもうマニアックな領域なので市場ニーズなんかは気にせず、自分が欲しいモノを作る、という感じで、あまり難しいことは考えておらず、至ってシンプルですね。」
一般的にガレージブランドと言えば、その名の通り自宅のガレージで作れるハンドメイドのプロダクトを作っている印象ですが、「neru design works」にはその域を越えた、複雑なプロセスや高度な技術が必要になるプロダクトもあるように感じます。
neru
「誰でもできることはあまりやらないようにしています。メーカーが作れるようなモノであれば、それはきっとメーカーに任せた方が良いし、多分簡単に真似されてしまうから。
自分しか作れないような、ちょっと尖ったモノを作れたら最高! と思いながらモノ作りをしています。」
では、実際にモノを作っていくプロセスについて教えてください。具体的なデザインや作り方はどのように決めているのでしょうか。
neru
「デザインは完全アナログ。デザインの勉強をしてきた訳ではないので、図面とか書けません。。今からでも勉強したいくらいです、、、。
外注の場合は、基本的に調べてお願いする。それだけです。以前は大抵断られてましたが、諦めずにひたすら探してお願いする。あとは熱意だけですかね。もちろんどこでも良いという訳ではないので、一緒にモノ作りをしたいというのが大前提ですが。
職人さんと仕事をすることが多いですが、みなさん仕事の進め方も、キャラクターも様々なので、やり取りも様々。発注書流せばモノが出来上がってくる訳ではないので、なかなか大変です。」
納得できるモノを作り上げるためには、共感しあえる職人さんを見つけるということも重要なんですね。
neru
「テーマのひとつに掲げているサスティナブルという視点も大事にしてます。
ご存知の通り、日本のモノ作りは素晴らしいですが、安い海外製品に取って変わられたり、海外に生産を移してしまったりすることで、モノ作り自体ができなくなりつつあります。
モノ作りは一度途絶えてしまうと、なかなか復活は難しい。
もちろん海外で作った方が良いものもありますが、日本で作り続けて欲しいモノもあります。そういったモノはコストが高くても国内で作るようにしています。
話が逸れてしまいましたが、日本で作れなくなったモノを、また日本で作れるようにする。そんなプロジェクトもやってみたいですね。」
「neru design works」のプロダクトから感じられるオリジナリティのある作品性はどのように生み出されているのでしょうか。
neru
「自分の欲しいモノを作るという点で、そこに自分の趣味嗜好が反映されているので、ある意味"らしさ"があるのかもしれません。」
自分が欲しいモノをユーザーにも欲しいと思ってもらうために、重要なことはなんですか。
neru
「見た目=デザインはもちろん大事にしていますが、それ以上に作品に込めたメッセージを大事にしています。
SNSのおかげで、簡単にメッセージを発信できるようになったことにも助けられていると思いますが、ビジュアルだけではなく、コンセプトも大事にしていることが、らしさを形成しているのかもしれません。
あ、それから、昔から人と同じことはやりたくないタイプなので、ガス缶カバーを作ったり、ディフェンダーをキャンプに持ち込んだり、自作でテントを作ったりしてきました。失敗するかもしれないけど、チャレンジしてみるという視点は、ずっと大事にしています。」
今回の、主にモノ作りをテーマとしたインタビューは以上となります。
また別の機会に、Instagramの写真を通して伝わってくる素敵な世界観の作り方、などについて語ってもらいたいと思っています。
ちなみに、あまりメディアの露出などをしないため、どこかベールに包まれている感のあるneru。
直接会ったことがある方はご存知だと思いますが、実際本人はベールに包まれてなどおらず、至って気さくで社交的なキャラクターなので、キャンプ場やイベントで会った時は、気軽に声をかけてみてください。
色々と貴重な情報が聞けるかもしれませんよ。
Author : akt