neru mag vol.32「オリジナルテント」

neru design works CAVE

こんにちは。

LOGに引っ越ししてから初めてのネルマガです。

引き続き宜しくお願いします。

 

今回はテントネタのみなので、テントネタに興味のない方はスルーしてください(笑)

 

いやー やっとここまで来ました。

長かった。。

2019年に設計を始めて約2年。

毎度のことながら時間かかってますよね。

うちみたいにモノ作りに時間がかかる場合、構想段階から皆さんに情報や写真を開示することは、ある意味リスクと言われます。

確かに、先に作られちゃう場合もありますし、それでボツにした計画があるのも事実です。

でも、モノを作っていく過程で皆さんの声を聞きながら色々考えるというのが、たまらなく面白いので今はこのやり方でも良いのかなとも思います。

そうやって、やっとここまできたネルテント CAVEですが、やっと、最終サンプルの完成です。

 

neru design works CAVE

色は最後まで引っ張りましたが、グレーの色味がとても良い感じに仕上がってくれたのでグレーにします!

サンドカラーは個人的にも好きですし、一般的には無難かなとも思います。

ただ、ここまでこだわっておいて、無難だからという理由でサンドカラーにするのも、なんだか負けた気がするのでグレーにします(笑)

サンドカラー希望だった方にも、いいね!と思ってもらえる色なので、楽しみにしていてください。

色味をもう少し説明すると、いわゆる灰色ではなく、少し青みがかったグレー、アーミーグレーという感じ。

明るい草原や、緑深い森、湖のほとりなど、色んな場面を想定しながら決めた色なので、どんな場所でもしっくりくると思います。

 

neru design works CAVE

雨が降ってる日にフィールドテストしたかったので、ある意味サンプル完成が梅雨時で良かったかもしれません。

雨漏りの心配もなさそうです。

もちろんコットンなので、コーティングしたナイロンなどの生地のような耐水圧は求められません。

ただし、コットンは水に濡れると水を含んで膨張してくれるため、ある一定の生地の密度と厚みがあれば、生地は濡れるけど水がポタポタ落ちてくることはありません。(もちろん雨の程度にもよりますが)

でも、ここが難しいところで、コットンはナイロンと比較して重いので、雨対策として密度と厚みを上げれば上げるほど生地が重くなります。

そうなると、テント自体が重くなるので、ポールにかかる力が大きくなります。

Tentipiのようなモノポールテントであれば、ポールを太くして重量を支えることができますが、普通のテントだとポールにかかる負担が増えてしまいます。

特に、ドーム型の場合、天井付近のポールは地面に水平な状態になるため、生地重量の影響をモロに受けやすいんです。

ただ、雨の影響を大きく受けないギリギリの厚みでドームテントでも使えるポリエステル/コットン生地がなかなか売ってない。。

これが、わざわざオリジナルで生地を作った背景です。

 

では、何故オリジナル生地を作ってまで、こだわったのか?

正直なところ、どんな生地にしてもメリット・デメリットはあります。

コットンのデメリットは上述の通り、耐水圧の低さ。

 

でも、これは使い方でカバーできる。

雨の日なら、タープの下に張ることで水圧の低さはカバーできるし、どうしても雨の日に張りたいなら、天井付近のみナイロンでルーフカバーを作ってもいいかなと思います。

極論すれば、雨の日は他のテントで過ごせばいい。

一応、雨でも大丈夫なように生地開発していますが、コーティングされたナイロンよりも耐水圧が劣るのは事実です。

 

neru design works CAVE

自分が優先したのは、使い方でカバーできない部分。

冬場は薪ストーブを使う人も多いと思いますが、その時気になるのが結露とテントへのダメージ。

結露だけは使い方を工夫してもどうにもなりません。

もちろんダブルウォールにすれば軽減されますが、それでは薪ストーブが使えません。

加えて、生地の耐熱性。

もちろんコットンも不燃ではないので穴は空きますが、ナイロンほど弱くはないので、煙突から落ちる灰などにビクビクすることはないと思います。

 

※コットンでも燃えますので、テント内での火の取扱は自己責任にてお願いします

 

ユーザーが工夫しても解決できない部分は、モノ作りで解決したい。

それが今回のテント開発の根底にあります。

 

neru design works CAVE

neru design works CAVE

とはいえ、今回オリジナルで作成した生地も万能ではありません。

通気性があり、薄くて軽く、シワになりにくい、高密度で耐水圧の高いポリコットン生地を実現する代わりに、生地の特性上、光にかざすと筋が見える部分があります。

また、摩擦が生じた部分は生地表面が若干変化するため、水の染み込み具合に差が生じます。

どちらも性能面に影響はありませんが、求めていた性能を獲得することとトレードオフの関係にあります。

こういった部分をリスクと考えるのか、課題の解決を優先するのかは、メーカーとガレージブランドでは考え方が違うと感じます。

もちろん自分の考えは後者です。

特に、最近のメーカーの考え方は責任回避が判断基準になってしまっているように思います。

本来の目的を解決できるにも関わらず、リスクを気にしすぎてしまうがために、とんがったモノ作りができない。

そうはなりたくない。

 

あと、モノ作りをする際に、普通のメーカーがやることはなるべくやらないようにと思っています。

普通のメーカーができる事は、メーカーに任せておいた方が良い。

間違いなく安く大量に作ってくれますので。

うちみたいなガレージブランドは、ニッチで構わないので、”そういうの欲しかった” と思ってもらえるモノ作りをすることに存在意義があると思っています。

 

neru design works CAVE

加えて、大事なことは、あくまで自分が欲しいモノを作ること。

世間と多少ずれたとしても、自分が欲しいと思うものを突き詰めた方が、経験上良いモノができます。

今回で言えば、上述の生地以外に、ポールの数や、入り口の高さ、入り口の下部構造といったあたり。

ポールの数が多過ぎる、入り口が低いという点は、今回Wネームで生産を請け負ってもらっているTFSからアドバイスがありましたが、ここはフォルムに大きな影響を与えるので、頑なに拒否(笑)

ドーム型の場合、入り口の下部は生地がつながっていることが多いのですが、この部分、子供たちに踏まれるし、しょっちゅう引っ掛けるんですよね。

雪山で使うなら構造的につながっている方が良いのですが、僕らが使うのは極地ではなくキャンプ場。

であれば、使いやすいように入り口の下部はベルトのみの方が良い。

煙突ポートは最近になってようやく対応するメーカーも出てきましたが、やはりメーカーとしては付けにくいオプションだと思います。

基本はテント内での火気の使用は推奨していませんから。

でも、結局皆さん自己責任で薪ストーブ使いますよね。

お客さんにテントをカットさせて、自作の煙突ポートを作らせるくらいなら、最初からできるだけ安全に使える煙突ポートをつけておきたい。

 

※繰り返しになりますが、コットンでも燃えますので、テント内での火の取扱は自己責任にてお願いします。いかなる責任も負いかねます。

 

自分がやりたいと思ったことを反映する。

こういう部分は、色んなしがらみがないガレージブランドの強みだと思います。

こういうこと書き出すと毎回長くなりますが。。

 

neru design works CAVE

肝心の生産状況と予約についても触れておきます。

現在、初回ロットのポールはほぼ入手の目処が立ちました。

とはいっても届くまで安心できませんが。。

早ければ10月には生産スタートできる見込みです。

あとは、船便次第。何事もなければ11月に発送開始できると思います。

ただし、コロナの影響で船便が取れない状況が続いているので、現時点で届くのがいつになるのか断言できない状況です。

 

あと、価格についても最終確認を進めていますが、船便価格が上昇していたり、ポールも値上げの通達があったりで、交渉継続中です。

もう少しお待ちください。(ご案内している価格の中で調整しますので)

 

予約希望頂いた皆様につきましては、既にリスト化しています。

ポールが確保できたタイミングで、予約順に個別に正式予約のご連絡をさせて頂きます。

 

決済につきましては、正式予約として受け付ける際に一部お支払いをお願いするかもしれません。

少し、生々しいお話で恐縮ですが、生地の手配やポールの手配を先行して進める必要があり、資金面の問題があることとそれなりの金額の商品のため、やっぱりいらないと気軽にキャンセルされると、個人で負えるリスクを超えてしまうため、ご理解頂けると助かります。

 

現在、2ndロットを受付中で、もう少しだけ空きがありますのでご希望の方はDMにてお問い合わせください。

(ポールの入手が流動的なため予約の確約はできませんのでご了承ください。枠が埋まり次第予約受付は終了となります)

 

3rdロットのポールを今発注すると、2023年納品と言われているため、現時点では手配をかけていません。

正確にいうと、手配したい気持ちもありますが、2023年の需要予測ができないため、発注できないというのが正直なところです。

従って、2ndロットの枠が埋まった時点で2022年度の生産分は完売となります。

それ以降の生産については、需要次第というところでしょうか。

 

最後に、TARPtoTARPと一緒に新しく立ち上げた”LOG”についても少し。

BASEのような既存のパッケージサイトではなく、これまでできなかった、予約システムなどを組み込んだサイトを構築をしています。

予期せぬトラブルも想定して、段階的に運用をスタートしていますが、一部のお客様にはご不便お掛けし申し訳ありませんでした。

課題をひとつひとつ解決しながら、アップデートしていますので今後とも宜しくお願いします。

 

それから、今回予約システムを実装しましたが、残念ながら生産数量自体は変わっていません。

いきなり生産数量が増えて、皆さんにお届けできるようになった訳ではありませんので、その点ご理解いただければと思います。

もちろん生産数量を増やせるよう努力はしていますが、予約数量によっては年単位でお待ちいただく可能性もありますので、そこをご理解いただいた上でご予約いただけると助かります。

 

ちなみに、テントの正式予約のご案内もLOGサイトからとなりますので宜しくお願いします。

 

Author : neru