新作テントを試すため三条の湯でテント泊

 

やっぱり外で使うモノは自分たちで使ってみないことには! ということで、LOGでは積極的に扱っている商品のフィールドテスト(ただ遊びにいきたいだけ?)をおこなっているんですが、今回メインでテストしにいったのは、THE FREE SPIRITS(TFS)のテント。


TFSは25年以上テントを作り続けているワン・ジガンが2011年に立ち上げたテントブランド。

自社工場でひとつひとつ、熟練の職人によって手作りされているクラフトマンシップが魅力です。ワンさんは「Pre Tents(プレテント)」を作っていることでも有名ですね。

今回は、LOGがワンさんにいろいろとリクエストして作ってもらった、日本向けの新作を試しにいってきました。

テントの試泊。しかも冬ということで行き先はおおいに迷いました。


笈川:予定してた雲取の五十人平が冬期閉鎖でした……。

鈴木:じゃあ、笠取とか? でも寒いよなぁ〜。雪もあるでしょ?

笈川:ワンチャン、すーさん(鈴木)泣くかもっすね。

鈴木:うーん。ほら、オサさんが釣りの企画で行くとか言ってたし、笠取山。

笈川:三条の湯はどうでしょう? 歩くのも楽だし。

鈴木:テント場のロケーションも良さそうじゃない?

笈川:三条の湯だったら温泉もあるんですよ。

鈴木:それだ!


以上は、今回の試泊の数日前の会話。お恥ずかしい。

 

 

メンバーは、LOGの鈴木、笈川、そしてライターサクライの3人。


笈川は北アルプス縦走のようなガチめの登山を楽しむ一方で、温泉を軸に山行を組み立てたり、ほとんど飲み歩きのようなルートを歩いたり、かなりバリエーション豊富に山を楽しんでいます。


いっぽう、鈴木はキャンプと日帰り登山を組み合わせるスタイルが好み。

低山登山の後はベースキャンプに戻ってまったり過ごすことが多いようです。

ただ最近は高山にも興味が湧いてきたらしく、今年はいろんな場所でテン泊縦走に挑戦したいと意気込んでいます。


鈴木のバックパックは「PPU STUDIOS」の50L。

冬期ということもあって寝袋やテント、そして防寒具などが入っているのでいつもより重ため。12kgくらい担ぐことになります。

笈川はハイパーライトマウンテンギアをチョイス。

バックパックの背面ポケットには大量のアルコールも仕込んであります。メッシュだからバレバレです。

 

 

今回のルートとしてはお祭登山口から入って、三条の湯まで。

高低差も少ないし、途中までは林道歩きなので、のんびりと9時くらいにスタートします。


冬の登山で気をつけたいのが心拍管理。息があがるようなペースで歩いてしまうとあっという間に汗をかいてしまい、その結果、汗冷えがおこってしまいます。と

にかくのんびり歩くこと、そして急がなくて良いようなタイムスケジュールを組むことがとても大事です。


この日はテント場まで約4時間。道中はときおり眼下に川が現れます。実はこの川は東京の水源の一部。つまりいまは水源を目指して歩いて行っているわけです。

その川を見下ろして鈴木がポツリ。


「川凍ってますけど」


この日はとにもかくにも天気が良い。気温は少々低いですが、空は雲ひとつない青空です。


「放射冷却が心配……」


さっきから寒さ警戒激しめの鈴木ですが、その雰囲気だけは達人。

日焼けした顔(地黒?)、ガッチリとした大柄な体格(ちょっと太った?)、そして白髪まじりの長髪(だいぶ増えたね)が相まって、山にこもってるクライマーの雰囲気なのです。

とても大量のホッカイロを忍ばせているオトコとは思えません。

 

 

なにやら笈川がキョロキョロしてるなあと思っていたら、ときおりゴミを拾ってショルダーベルトに着けたポーチへ。これは「携帯ゴミ箱 POY」。

山梨のアウトドアショップ「スタンダードポイント」さんが発起人となって別注したバージョンでLOGも参加させてもらってます。

こうしたアイテムを持つだけで、山のゴミを拾うという意識が芽生えるという意味でも、とても良いアイデア。


この道から三条の湯に行くのは初めてで「長い林道歩きかぁ」とあまり期待していなかったんですが、林道終点からの最後の約1kmの道がとても良い、といううれしい発見もありました。

渓谷沿いにつけられた細い道をゆるゆると上がっていくんですが、かつて訪れたネパールの山道にちょっと近いものを感じました。

 

 

そしていよいよ三条の湯に到着。テント場をチェックすると、冬期&平日ということで、貸し切りです。

両サイドに川がながれる良ロケーションで、つねに沢音がするので、テン場あるあるのイビキ大合唱も気にならないはず。


受付を済ませたら、さっそくテントを張っていきます。


今回のTFSのテントはLOGがいろいろとリクエストを出しているんですが、まずそのサイズ。

日本人の平均体型をベースにできるだけコンパクトにしてもらっています。これは仕舞い寸法や軽量化の目的もありますが、最近のテント場が混雑するという事情も考慮しています。

そして自立型かつダブルウォール。

どんな状況でも使えますし、張りやすさも抜群なので、これからテント泊をはじめたいというエントリーユーザーにも優しい仕様になっています。

 

 

鈴木が使用したのがTFSの「Solitary」。

孤独という意味ですが、その名の通りストイック系ソロテントです。

フライは10デニールのシルナイロンで、インナーはメッシュ部分の面積違いで3シーズンと4シーズン用の2種類があります。

インナーの広さですが、幅80cm、長さが210cmと日本人の平均体型に合わせたサイズ感。身長180cm超えの鈴木に言わせると「ちょっとだけ圧迫感あるかも」だそうですが、高さは96cmありますし、中で十分に着替えられる広さがあります。

というか、寒さにビビりすぎて、極厚マット&寝袋2枚重ねとかしてるんだから、そりゃ圧迫感ありますよね……。

特徴的なのが両サイドに張り出した前室。入口反対側のサブ前室は室内からアクセスできるので、絶対に濡らしたくないシューズなどはこちらに入れて、バックパックはメインに、という使い分けができます。

クロスポールの自立式4シーズンテントで、総重量は1084gですから、十分に軽い部類に入ると思います。

個人的には張ったときにインナーのイエローがうっすら透けて、ちょっと近未来感ある佇まいも好きです。

 

 

ライターサクライが試したのが同じくTFSの「Skyline」。

寝相が悪いのでソロで行くときも基本的に2人用を使うのですが、このテントは横幅こそ130cmとやや細身ですが、特筆すべきは天井の高さ。105cmもあるので、170cmのサクライが膝立ちしても余裕があります(足短くね? とか言わないで)。

そして個人的には開口部が広く取ってあるのも嬉しいポイント。年々カラダが固くなってきて「いつかテントから出るときに立ち上がれなくなるんじゃないか」という不安を抱えている身としても安心のアクセスでした。

こちらはメッシュ部分が多く取られた3シーズン用ですが、かなり高めのバスタブ構造なので、寒さはほとんど感じませんでした。

高めのシルエットになっているので、耐風性は少し気になりましたが、風向きを考慮して短辺で風を受けるように張れば問題ないレベルだと思います。

総重量も1195gと2人用テントとしてはかなり軽い部類に入ります。

ちなみに頭頂部にも前室と出入り口があるので、荒天の時などはこちらで煮炊きをできるようになっている点も、停滞が付きものの長期縦走などに向きそうだと感じました。

 

 

笈川はPre Tentsの「Wings JP」。

大人気の「Lightrock 1P」を山岳での使用を想定してアップデート。総重量1234gと大幅な軽量化に成功しています。

構造体としての頑丈さはピカイチで、試しにグイグイ押してみましたが上手に力を逃しているのを実感しました。

設営も容易で、今回持って行ったテントの中で、一番素早くおこなえたモデルです。

今回の試泊での最重要チェック項目としては結露の具合でした。軽量化のために天井部はシングルウォールになっているので、それがどこまで影響するか……。翌朝笈川に聞いてみると「多少はするけど、滴り落ちるまではいかない」ということで、厳冬期の標高1000m超えでそれなら、合格点といえるでしょう。

インナーは長さ230cmで幅が85cmと鈴木が使った「Solitary」よりもひとまわり広いので、大柄な人にはこちらがオススメです。

 

 

テントを張り終わったら、テント場にあるテーブルを囲んでまったりと過ごしますが、鈴木がポツリ。


「足先きたなあ……」


たしかに、日も傾いてきてだいぶ気温も下がってきています。

だが、こちらには最後の切り札がある!

イエス、温泉です。

 

 

各自お風呂セットを携えていざ温泉へ。三条の湯は約10度の鉱泉を灯油と薪で沸かしているのですが、これがまた熱すぎずぬるすぎずの絶妙な温度。

「ぶふぇ〜」と各自おっさん吐息をはきながら、じっくりと身体を温めます。お風呂場自体もとても綺麗で、窓から見える木々も美しい。


温泉で無敵タイムに突入した我々ですが、果たしてこのぬくぬくがいつまで続くのか……。ふたたびテント場にもどって、熱燗をつけていると、なにやら鈴木が全笑顔で戻って来ます。


「食堂使って良いそうです!」


食堂許可きたー!!

これじつは山小屋あるあるなんですが、空いているときはテント場利用の人にも食堂を開放してくれることがあるんです。

この食堂がまさにParadise。薪ストーブが爆ぜる音を聞きながら、幸せ山時間を過ごさせていただきました。


そして、そのままぬっくぬくでテントへ潜り込みます。

なんのストレスもなく朝までぐっすり眠れたのは、テントの性能か、温泉の効能か、はたまたお酒のせいなのか。


翌日はかっちこちに凍った地面によってペグが抜けないトラブルもありつつも、無事撤収。

試泊の結果ですが、どのテントも快適そのもの。自信を持ってオススメできる商品だと確信しました。

「センターがシングルウォールだから結露はするんですが、それが凍ってまるで星空のようでした」という笈川のロマンチック感想も添えておきます。


それにしても、2300円で温泉付き宿泊できるなんて、テントを持ってる人間だけに許された特権です。

雪が溶けたら温泉ありきのテント泊登山も良い。

 

高天原温泉や法華院、赤岳鉱泉、本沢温泉、雷鳥沢など候補を挙げればきりがありません。さすがは温泉大国ニッポン、なのです。

 

櫻井 卓